肉塊はまだ生きていて生暖かく光っていた/hossy
れほどの害を及ぼすのだ
毒もなく
皮膚を溶かすわけでもない
後ずさりする
彼女のなかにこそ毒素が満ちている
脅えながら
激しく痙攣さえしたのは
手に触れた醜さと
なめらかな曲線を描く
自身の生の美しさからだったのか
高慢な思い込みに気がつかない
男たちは彼女の中のぬめりを直視できたか
女たちは彼の手のもつうごめきを吐気を我慢できたのか
どろどろとした内臓
滴り落ちる分泌物
美しい薄皮を取り去ると
両生類を超えたものが閉じ込められている
人の形をした条虫の群れ
血で満たされた肉
同じ物との邂逅こそが
すべての原因だった
ぬらぬらとした下等動物
それらはけして薄汚いものではなく
勝手につけられた
象徴としてのしるしを負わされているだけなのだ
薄い皮を通し
自己の内部に触れる
ただそれだけのことだった
何故あれほどまでに拒否反応をおこすのだ
その答えは彼女の顔に浮かんでいる
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