深層/天野茂典
深層
少年が詩を書いている
ピカデリーサーカスのストリップ小屋で
メモにボールペンで
少年はだれにも詩を読ませない
詩を書くことは脱ぐことだ といった詩人が
いたが少年は脱ぐのがいやだったのだ
いつもカジュアルでいたかった
着衣していたかった それがかれの
ライフ・スタイルだったから
踊っているのはイタリアからの出稼ぎ少女
たちだった みんな若く痩せていた
客は男女入り混じっていた ロックにあわせて
手足を振っているだけだった
もちろんオール・ヌードだったが嫌らしくなかった
陰毛が草のようだっ
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