夜明けの人/塔野夏子
夜明けの人よ
この胸の彼方の青い丘に立ち
おそらくは私を待っているのであろう
夜明けの人よ
あなたのもとへと
私は行きたい
けれどそれにはまだ
私が過ぎ去らねばならぬもの
私を過ぎ去らねばならぬものが
幾重にも残されているのを
私は感じる
私は間に合うだろうか
私がいつかその丘をめざして歩きだし
そして辿り着く頃
あなたはまだ そこで待っていてくれるだろうか
もし間に合わないとしても
私はずっと抱(いだ)きつづけるだろう
胸の彼方の青い丘に立っている
夜明けの人よ あなたの姿を
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