のぼる/
向 奨吾
夜闇の階段に
小さく影を落とす
重力を蹴り上げ
人工灯を背負ったまま
漆黒の空を駆けた
夢を語りかけるのは
にじんだ紅い満月
せわしなく吹きつける時間が
足元を撫でては転がった
世界は、どこ?
問いはろくな道筋も描かず
落ちていく
ふしあわせを踏みつけて
また一歩、手をのばす
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