歩道橋についての夕方と朝方/ブライアン
歩道橋の上に立つと、思い出すことが二つある。そのうちの一つは小学生の頃の思い出で、残りの一つは上京してからのことだ。生まれた場所には、歩道橋が一つしかなかった。その歩道橋には唯一の信号機が付いていた。国道113号線を横断するためにつけられた歩道橋と信号。信号機は、青信号と赤信号の時間が、極端なほど違っていた。国道113号線を走っている車が赤信号に捕まることはほとんどなかった。車はスピードを緩めることなく通過していった。
その歩道橋はペンキが剥がれ落ちていて、寂れた場所を象徴しているようだった。近くには工業地帯があり、バブル期は多くの企業を誘致しようと努力を惜しまなかった。だが今は、そのほとん
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