雨模様/ベンジャミン
 
三月ですから
春の匂いをただよわせる風も吹き
草木の色も何となく鮮やかに見えるのです

あなたは
うまくふくこともできない口笛で
僕が知らないメロディーを
そんなものたちに聴かせるように
気持ち良さげに鳴らしています

あなたは
僕の考えがわかっているような口ぶりで
「聴こえてくるものに耳を澄ませばいいの」と
僕が知らないメロディーの
そんなリズムの歩調で歩くので
僕はついつい
あなたの背中ばかりを見つめています

「わたしが三月なら、あなたは二月ね」と
少し前を歩くあなたが言うので
僕はあわてて隣に追いついたのだけど

「三月は雨の日が多い気がするわ」
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