ピップの空/オノ
 
ピップは空の絵しか描かない画家だ。
静物を並べられても、肖像画を頼まれても、裁判所のスケッチを
頼まれてもピップが描くのはいつも空の絵だった。
そのためピップの絵はなかなか売れず、きわめて貧しい生活を
送っていた。
またピップは食費も惜しんで青の絵の具を買っていたため、
ピップの頬はこけ、顔色は空よりも真っ青だった。
2520年、ピップの星は酸性雨と紫外線の被害で壊滅状態にあった。
苦肉の策としてその星の住人達は星を大きな灰色の膜で覆った。
膜により酸性雨と紫外線は全てせき止められたが、ピップは
空が見えなくなってとても悲しんだ。
「すいません、あなたの絵を下さい。」
ピッ
[次のページ]
戻る   Point(3)