まひるのりんかく/たりぽん(大理 奔)
うすあかるい
海風が流す真昼
爪のように剥がれ落ちた
湿った雪がすべてを埋め尽くそうと
降りしきっています
昨夜の暗い雪雲の切れ目に凍えた
遠い闇に抱かれた青白い星が寂しすぎて
眠れないとメールをくれた君は
きっといまごろは曖昧なこの昼を過ごし
雪原という名の鳥取砂丘に
わたしが立ち尽くしていることなど
思いもしないでしょう
帽子にも、肩にも、背の低い松にも
その存在を埋めてしまおうと
雪は無情すぎるほどに冷たく降りしきってはいるけれど
ぼんやりとした私のかげを埋め尽くせないことに
びゅうううと、風がいらだっているようです
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