かぐや指/salco
 
昧に暮らして来たのさ、手練手
管でお姫様みたいにね」
「へぇ。そうかい」
 お姫様だって? 食うにも事欠く家に転がり込んで来て、笑わせるん
じゃないよ。
「ふん、知ってるくせに」
 ここを使うんだよ。とばかり指は、深い横皺が結構な滑り止めになる
額の上でぴょんぴょん飛び跳ねました。
 ああそうさ。起き上がれるようになったら、お前なんざ即、叩き潰し
てくれる。
 お婆さんは金槌だの漬け物石だの箪笥の引出しだの、使えそうな家財
道具を頭の中に並べながら誓いました。そんな心を見透かしてか、指
は、
「何もタダでとは言わないよ」
 椅子がわりのダイアモンドに腰かけると、額に押し
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