さびしかった/吉岡ペペロ
 
うかれているしかなかったのだ

さびしかった

信じられないくらいの

さびしい状況にいたのだった

いちかばちかのような気持ちだった

だから

うかれているしかなかったのだ


梅がさいていた

それが桜ではないことは

暦で判断していた

梅のつぎは木蓮だった

その花びらが朽ちて落ちると

そこには桜がさきほこっていた


うかれているしかなかったのだ

さびしかった

信じられないくらいの

さびしい状況にいたのだった

いちかばちかのような気持ちだった

だから

うかれているしかなかったのだ





戻る   Point(16)