さびしかった/吉岡ペペロ
うかれているしかなかったのだ
さびしかった
信じられないくらいの
さびしい状況にいたのだった
いちかばちかのような気持ちだった
だから
うかれているしかなかったのだ
梅がさいていた
それが桜ではないことは
暦で判断していた
梅のつぎは木蓮だった
その花びらが朽ちて落ちると
そこには桜がさきほこっていた
うかれているしかなかったのだ
さびしかった
信じられないくらいの
さびしい状況にいたのだった
いちかばちかのような気持ちだった
だから
うかれているしかなかったのだ
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