空の青さが眩しくて支えきれずに/木屋 亞万
 
は常に空が青く
もう半分は黒い色、その間には赤い線
ぐるぐる回る黒と青

地球は青かったと言ったあの人は
たぶん青い部分しか見てなかったんだ
本当はチュッパチャップスみたいに二つの味が楽しめる
カラメル味の甘い夜としゅわしゅわソーダの青い空
赤いラインはイチゴ味
赤道と最初に名付けた人は
そのことに気付いていたのかもしれない

背中が青空になっている人が
目の前を走っている
自転車で
背中が窓のように広大な青空の入り口になっていて
僕はとても爽やかな気持ちになった
眩しくて澄んでいて鮮やかで
でもどことなく悲しげなその青色を眺めて
僕はこの人を支えたいと思った

「雲ひとつない晴天です」とこの頃は誰も言わない
「はい、元気です」と返事する人もいなくなった
特に言う必要もないのかもしれない

最近の僕はといえば
あの人の背中の青空を
なるべく晴天にできるように
箱から出ようとしてみたり
地球の味見を始めたりしている

空は
そんな努力をしなくても
誰にも支えられず高い位置にあって
今日も眩しく
とても青い
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