奇跡の瞳/kawa
 
いくつもの世紀をこえて
多くの人の手を渡った
奇跡の瞳を手に入れた
汚れたわたしの瞳の上に
震える手で押しこむ


わたしたちはよわくて
かんたんに壊れてしまう
だから、かなしいものをすべて捨てて
自分ごとなくなってしまう
わたしもそうだ
希望のために
すべて捨てた


奇跡の瞳でみる世界
風は結晶化して街に降り
友人たちは透きとおった化石の恐竜になった
楽しげに語る鉱物の言葉
分からない
君はそんなにうつくしいのに


わたしを追う黄金の鳥の群れから逃げて
ひとあしで降り立った深い銀河の中
真空管に封じた写真が
星の瞬きで尋ねる
奇跡の瞳で何をみる
ずっと求めていた、おまえの希望で


偉大な声のやさしさを
笑顔で断って
きみとわたしの街へ帰る
言葉が分からないのは好都合だ
だれも聞かない夜に歌おう
希望という名の瞳


希望、ここが何処なのか知らない
希望、わたしが何なのか知らない
でも関係ないね
歌うよ
汚れた瞳で
大声で


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