庭 / ****'99/小野 一縷
ットが死んだよ
自分の糞と小便にまみれて
八月は嫌いだ
やっと 大切に思うことができた
白い猫が死んだから
ほんとに くそ暑かった日
ぼくの猫が燃えて しなびた煙になって
くそ青い空に 昇ってゆくのを一瞥して
後はずっと 砂利の中の一つの石だけを ただ見ていた
無数の蝉
余命少ないあいつらは キチガイのように騒がしい
いつか つまらない盗みで捕まったのも 夏だ
夏は嫌だ バイクを盗られたのも夏だ うるさい
そう
何をやった後だって
弱々しさや苦しさには みんな
優しかった(ただ ぼくに似た連中を除いて)
でも どれほどそんな嘘をついても
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