かぐや指/salco
 
 むかしむかし、ナイルのほとりに貧しいお爺さんとお婆さんが住んでお
りました。お爺さんはギザへ盗掘に、お婆さんは河へ砂金採りに、今日も
空しい篩(ふるい)をふるっておりますと、あれ下流からどんぶらこ、どんぶらこ。
褐色の水面に保護色もあざといナイルワニが、これまたあこぎな眼を据え
て、お婆さんの足元へ近づいて来るではありませんか。
「お呼びじゃないよ、こん畜生。お前なんかに食われてたまるかい」
 お婆さんは岸辺の葦原へ軽々跳びのくと、携えていた懐刀ならぬ旧ソ連
製カラシニコフでワニの眉間を一発ずどん!

「ふん、当分こいつの干し肉だよ」
 と言いますのも、沙漠の貧困家庭に
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