深呼吸/
たもつ
少年が電話の凹凸に触れているころ
少女はまだポストの中で
封筒から漏れてくる潮騒を聞いていた
すべてが終わったら、
横断歩道をきれいに塗りなおそう。
町中いたるところの横断歩道を。
そんな二人の約束事が書かれた紙は
すでに粘土よりも柔らかくなり
春が深呼吸でできていることに
気づき始めている
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