とげ/
朧月
とげのある花は美しい
とげのある木の芽はおいしい
とげのある枝の実もおいしい
私はとげによく刺さる
とげの入った手は痛い
とげは心に痛い
とげとげしいのは好まないが
とげとげしくなってばかりいる
無心で登った山
いちまいいちまい脱いでいった
山にはがれていった
手薄な私にとげは厳しく
ありのまま刺していった
触れたのは私だから
痛むのも私だから
とげはとげのままで綺麗に
天を向いていた
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