なにかしらの/番田
た
私は何となく寂しい
食べ物を探した
セリフを忘れた
夢だったのかもしれない
今すぐ夏になればいいのにと
スイッチを 押し込んだ
何となく悲しかった
これはどこの国の言葉だろう
ノイズが回りを取り巻いている
ラジオが何となく流れているのかもしれない
*
買ったばかりのマンガをめくった
家族も恋人すらいなかった
釣り竿だけが トランクにはあった
名前も忘れた 誰かが 好きだった
鈍く光る長い鉄の棒の先かもしれない
銀色の風景だけが眩しいだけだ
それとも 電信柱なのか
生きていくのは大変なのかもしれなかった
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)