あなたまで/捨て彦
あれだ
あのー
いや
だからあれだ
さまざまだ
それぞれの。
それぞれがさまざまに
そもそものことを。
僕たちはいつも
そんなふうに
ま ざ
ま ざ
と
どうでもいいものを
見せつけられて
歩いているのだ
たぶん
生きているうちの
半分にも満たない
千切れた点
その空中に放たれた
五kgくらいの
結構でっかいそれを
僕という名の欠片は
通天閣の上のほうで
つーっと目を細めて
いつまでも
ぼんやりと見送っていたのだ
視界は
ぜんぶ赤い
ありとあらゆる
時間と空間の
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)