形骸 ★/atsuchan69
 
ことがバレたりでもしたら、人を殺したおまえたちの命どころか魂は永劫に地獄行きだ。だから箱詰めのあと、生贄の箱を青い水玉模様の包装紙で丁寧につつみ、さらに紅い大きなリボンをかけて広場に置いた。そうして残酷な朝の光が不吉な教会の鐘の音とともに訪れるまえに、人を殺したおまえたちは跪き、箱をまえに神へ祈るふりをした。すると見よ! 夜の涙で濡れた石畳はたちまち地響きとともに崩れて、生贄の箱は底なしの奈落へと沈んだ。
街中の窓という窓からふたたび美しく淫らな罪の色に染まった顔が登場し、――ふん。なんだよ、また生贄ごっこかい。と、口々にそう云った。蒼褪めた馬の首を被った人を殺したおまえたちはそれらの陽気な悪人たちの顔を見あげ、とりあえず今夜も生きながらえているということを、恐るべき深淵の入口を見つめながらも束の間の安堵のうちに、そっと悟った。

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