形骸 ★/atsuchan69
 
荒く乱暴に削られた悲しくも不真面目な凹凸のある石畳は、煌めくルビーがさんざん泣いて叫んだあとのように、まだ温みのある紅い夜の涙でびっしょりと濡れていた。
蒼褪めた馬の首を被った人を殺したおまえたちがせわしく迎える朝、その罪の許しを請うまえに色とりどりの花で飾られた街中の窓という窓はすべて開け放たれ、年若い娼婦や片足のないバイオリン弾き、首にマフラーを巻いた金持ちの酔っ払い、猫を抱いた老婆、飛行帽をかぶったタイロッケンコートの男、真下に皿を投げ落とす憑依障害の女、洟をたらした太っちょの少年、そして葉巻をくわえたスコティッシュ・ディアハウンドだの女装趣味のあるナイフ砥ぎだの、白いエナメルの長靴をはい
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