ヒーローズ (昭和編)/nonya
み取るのは
得意なのだけど
背後からの指の奇襲と
無責任な噂のつむじ風と
ゴリゴリの押しの圧力には
めっぽう弱い
どんな天変地異も
滔滔と受け流し
豊かに濁り続ける
大河のようなマスクが欲しい
「虚人の星」
大河は猛り狂い
山岳は泣き崩れ
森林は行き倒れ
海洋は押し黙る
馬鹿正直に
生きることができない
器用貧乏な
人は何も知らない
人の息が
いかがわしい雲となって
人の欲の
生臭い雨を降らせる
降りやまない欲は
地面に浸み込んで
内側からじわじわと
地球を喰らっていく
やがて
地殻の皮と
地核の芯を残して
地球は
虚ろな果実になるのだろう
虚ろな果実の皮の上で
もぞもぞと蠢く
人も
もちろん虚ろだ
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