晩秋、午後四時、/佐々宝砂
生きている気がしないから働く
私は役立たずではない
そう思わないと死にそうに思うから働く
子育てや介護や芸術やそのほかもろもろとても大切なもののための
大義名分をひとつも持たないから働く
誰も私を味わいはしないとしても
そんなこと知らない
私はとにかく働く
私は働くことができる
夕飯は鍋物にしよう と考えている
白菜がバカ高いのでいやんなるけど
そろそろ鍋物がおいしい季節
酔ってたって
鍋物くらいつくれるよ
おかえり
私のダーリン
酔っていて
ごめんね
戻る 編 削 Point(6)