時をかける少女/オノ
声がした。
少女は目を開けた。
彼女はベッドの上に横たわっていた。
2010年7月2日の朝だった。
少女はベッドの上で小躍りしたあと、彼女の手首を確認した。
これでタイムトラベルできるのはあと【790】回か。
もう少し考えて使えばよかったかもしれない。
何せ800万円もするからなあ。
少女は手首を確認した。
そして少女は、彼女の手首を確認した。
すると、少女は手首を確認した。
数字がなかった。
【S社 タイムトラベルマシンサポート窓口】
彼女は震える手で電話した。
「あの、タイムマシンを、791回分のタイムマシンを買ったんですが、
ちょっと昔に一回ワープしたら数字が消えちゃったんですけど、これ
初期不良ですかね。」
電話応対の女は落ち着いた口調で言った。
「お客様、商品をご購入される前の過去までトリップされたのですか?」
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