涼子、溶解/ゴースト(無月野青馬)
だに粉飾しようと働く
無意識の業
誰にも出逢わない
誰にも知られない
消失点に
私はいる
水が流れるように
風が吹くように
私は流れ、私は吹かれ
此処に来た
喜びは無い
悲しみは無い
新しい亀裂の生誕を知ることもない
私の崩落と、戻らない変容を眺めるだけ
空を渡る暗黒竜がまた鴉を攻撃している
また蛙を踏みつけている
私の隣で
蛙が溶ける
私の隣へ
鴉が墜ちる
誰にも知られないまま
私は溶ける
星を見ながら
私は溶ける
私の隣で
私の過去、現在、未来が溶ける
私の過去、現在、未来が終わる
誰にも知られない場所で
誰にも知られないままで
幸せを
幸せを感じる}
という一形態
涼子という名前を持ち
その名と共に消え失せた一人格
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