雪と汗/かのこ
 

雪が降り積もるだけで
街中から静けさが聞こえてくるのはどうして

昨日通り過ぎた雨が
夜明け前にはすっかり凍りついて
ただ触れている胸の中心だけが溶けて
そこに雫を落とした

ふやけた皮膚が剥がれてしまう
言葉にして表せない
居心地の悪さを覚えて
切り落とした断面がどうしようもなく寒い

今夜も噛み締めるように
何度でもなぞるあなたとの思い出
止め処なく流れ出す体温が
首筋の汗が鬱陶しかった

次の朝目覚めた時には何もない
閉じた目蓋を縁取る睫毛もあの温もりも
雪が溶けて水になるように
すべて幻に思えるだろう

身体の中を流れる雫に
この冬に決着をつける時が来た
この雨が上がる頃には
春が目覚めるのだから
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