装殖/01
 

錠剤を山ほど身に振りまくヒト
身動きできないくらいメッキで自身を固めたヒト
貴金属を鎧のように纏ったヒト
それなのに灰色のヒトヒトヒトヒト
その中で何も身に着けていない私がいる
裸の私がいる
ケースの中へ宝石を盗もうと忍び込んだネズミのように私がいる
ふと陶器のような女の手が伸びてきて私をつかんだ
生暖かい感触と灰色の世界は子宮のよう
私は胎児としてうまれるのか死ぬのか堕胎としてうまれるのか死ぬのか
同時に襲ってくる生と死から逃げようともがく
もがくもがくもがく
太陽の無い空の下
着飾った奴等を白く染めるのは
子宮から零れる血だと知っている
だからもがくもがくもがくもがくもがくもがく
叩き引っかき蹴り上げ齧る
熱いぬるぬるした液体が私をすくうまで
裸の私がすくわれるまで




赤い血管は鎖
皆すくわれている
灰色の皮膚の下の血管で何処まで行こう
皆すくわれている
生と死の間でゆらゆらと
すくわれているのに。
戻る   Point(0)