寓話/AquArium
 

少年は気付かないで
いつも綺麗な薔薇を
摘んで夢を語った


朿だらけの身体でも
溶け合えば感覚は失ってゆくの
生ぬるい匂いと脈と血に
想いを累ねるだけ


夢中で


目指したものも
手に入れたいものも
本当は海でも薔薇でもなかった
確かなものが欲しくて


それは2人には見えなかった
恐らく少女は分からないふりを
恐らく少年は気づかないふりを
風が冷たいよ



森の住人は誰一人いなくなった

戻る   Point(2)