寓話/
AquArium
少年は気付かないで
いつも綺麗な薔薇を
摘んで夢を語った
朿だらけの身体でも
溶け合えば感覚は失ってゆくの
生ぬるい匂いと脈と血に
想いを累ねるだけ
夢中で
目指したものも
手に入れたいものも
本当は海でも薔薇でもなかった
確かなものが欲しくて
それは2人には見えなかった
恐らく少女は分からないふりを
恐らく少年は気づかないふりを
風が冷たいよ
森の住人は誰一人いなくなった
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