薬が効かない/
三条麗菜
ではなく
ある種の美意識の表現として
身にまとっているのです
美意識だから捨てられないのです
それが分からない未開人たちが
窓の外から私達を指さし
まるで哀れなもののように見るのです
私は汚くなるのが
嫌なのです
たとえシーツ一面に
吐いたものが飛び散ろうとも
電車は進んでゆきます
電車の外を鑑賞する
私を乗せて
電車は進んでゆきます
電車の中で苦しみながら生きてゆく
私を乗せて
それにしても
薬が効かない
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