丘から地平線が見えるのですが/……とある蛙
 
人生なんて冗談でしかないって
お偉い先生が言っていますが、
そんなことは地平線まで見える丘に立ちすくんでいる下々の者である僕らにはとんと実感がありません。
大きく言えば人生って今生きていることなんだなんて思っていますけど、泥棒たちは僕らの寝ている間に一生懸命お仕事しているし、お偉いさんたちは僕らの財布から親にもらったお小遣いを窃すめ取ろうといろいろ美味しいことを言っているし、その横できれいな女の子たちはかわいいパンツを見せている。
僕はそんなにお金は持っていないのだけれども 宵越しの金を持っているだけで軽蔑の目を投げかけられてしまいます。
こんなこと気にしていては せっかく晴れて綺麗に見える地平線がそのうち逃げてしまうような気がするので、仕方ないので泥棒さんを殺して、お偉い先生の口にセメダインを流し込み、かわいい女の子のスカートをたくしあげてチューリップのつぼみにしてあげたのです。
でも
もう地平線は真っ赤な夕日で気が違いそうなくらい美しくなっていたのでした。

そして、すぐ真っ暗になってしまい僕は、その場で また、すくんでしまったのです。
戻る   Point(5)