ライト/番田 
 

自分自身のことが見えなくなりそうだった。それはいったい何故なんだろう。よくわからないけれど、確かなことなのだと思っていた、嘘ではないのは自分のことだけだった。本当に疲れていた。疲れていないのは目に映る様々なものだけだろう。ものひとつとしてない、部屋の中は寂しさに満ちている。悲しさと楽しさが入り交じっているようにも感じられる。部屋の外は、車たちが延々と流れていくのかもしれない。そうではないものは一体何なのだろう。私は疲れているのかもしれない。疲れてはいない、多くの人はやつれきっているのだろう。山手線が途切れることなくホームにやってくるのはなぜ。私は事故が起きても不思議ではないように思えている。脱
[次のページ]
戻る   Point(1)