故 中川路良和 詩作品より/まどろむ海月
 


その漠とした時の流れ

(どうしてこんな大事なものを忘れていたのだろうか)

ぼうぼうとした野の原に
はえそめた緑の草をちぎると

サラ サラと時をこえて
砂つぶが風に吹かれてゆく

その緑の悲しみ

僕は青色い空間に
やすらぎを求めようとしたのか

赤いレンガのへいに
もたれながら


その漠とした時の流れ




















戻る   Point(5)