必要/
相田 九龍
た
彼は旅をしていた
杖を持って 足が棒になりながらも
山を越えてどこかを目指していた
旅人が起きると夜だった
とても寒い夜で荷物から上着を取りだした
たくさんの星が木々の隙間から覗いた
旅人は死んでもいいと思った
人形は泣くのをこらえたまま
街に戻っていった
二度と街から出ないと誓って
街に戻っていった
旅人は冷たくなっていた
言葉がそこにないのなら
そこにすべてがあった
それを証明する手段はないが
少なくとも
誰も何も必要としなかった
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