雨音のひと/恋月 ぴの
も立ち止まって雨傘を開いてる
痛くないのかな?
って痛くないわけないよね
ごめんなさい
肌色のストッキングが痛々しさを際立たせているようで
ちょっと小走りになって彼女を追い越してみる
傘を叩く雨音の強さに思わず首をすくめ
撥ねる爪先が歩みを急かし
このまま雪になったら積りそう
お天気と関わりなくひとは出かけなくてはならないし
たぶん何かしらのドラマがあって
それって人それぞれのマジな思いに彩られている
立つんだジョー!
ってテレビから流れる台詞は懐かしすぎる
立つんだって言われても立たせるもの、私についてはいないけど
映画観たらきっと泣いちゃうんだろうな
打つべし!
歩道の水溜りなんか避けながらへっぽこステップ踏んでみた
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