雨音のひと/恋月 ぴの
 
も立ち止まって雨傘を開いてる

痛くないのかな?
って痛くないわけないよね

ごめんなさい

肌色のストッキングが痛々しさを際立たせているようで
ちょっと小走りになって彼女を追い越してみる

傘を叩く雨音の強さに思わず首をすくめ
撥ねる爪先が歩みを急かし

このまま雪になったら積りそう

お天気と関わりなくひとは出かけなくてはならないし
たぶん何かしらのドラマがあって
それって人それぞれのマジな思いに彩られている

立つんだジョー!

ってテレビから流れる台詞は懐かしすぎる
立つんだって言われても立たせるもの、私についてはいないけど
映画観たらきっと泣いちゃうんだろうな

打つべし!

歩道の水溜りなんか避けながらへっぽこステップ踏んでみた





戻る   Point(21)