雨音のひと/恋月 ぴの
コツコツと先を急ぐ女のひと
両かかととも赤く腫れあがっていて何だか痛々しい
足に合わない靴だったのかな
駅前広場は折からの霙混じりで
軒際で立ち止まっては、いちいち傘を開くのも鬱陶しくて
私ならぺったらこな靴履いてばかりだけど
ちょっと高価でおしゃれそうなハイヒールだったし
改まった雰囲気の黒っぽい上着を羽織っていた
あいにくのお天気となってしまったよね
なかなか都合通りには晴れたり曇ったりしてくれないもので
大切なイベントのときに限って電車遅れたりして
そわそわせかせか落ち着かないし
それでもってお腹まで痛くなったりしちゃう
さっきの女のひとも立
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