Farewell/洋輔
 


つま先をカドにぶつけたような痛みの中
俺は何もかも忘れるようにベッドに深くもぐり込む
自分一人の暮らしにさえ責任を取れない俺が
他人の生活を背負えるわけがなかった

ただ一つの真実だけで君を
包み込むことができたらと俺は

君のほおにほおをよせて
“愛してる”と何度も何度も囁いた
肩に君の顔の重さを感じながら
愛してる、愛してる、愛してる…


居場所すら見つけられないままの俺は
降りしきる雨を見上げてたたずんでいた
つま先をしびれさせるアスファルトの冷たさよりも
雨雲のほうがずっと近くに感じられた

目を閉じてこのまま雨に
とかされて消えてしまえたらと俺は

ほほえみの君を思い浮かべて
“これでいい”と何度も何度もつぶやいた
やさしくつつみ込む雨の重さを感じながら
これでいい、これでいい、これでいい…









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