置物のこと/はるな
花巻から一時間半。単線列車にゆられて、彼のふるさとへいった。
空気がつめたく、おりたった駅からはおおきな山と、大きな工場がみえた。
祝日。人はまばらで、商店街のシャッターは七割がた閉まっている。ゆきかう車もなぜだかうすぼうやりとして見える。空は青かった。
中華料理屋の二階でコースを食べた。中心がくるくる回る卓、たたみの枯れたようなにおい、うす切りのレモンが入った水ポット。いくつもの取り皿、はし、なんだかよくわからないけど縁起のよさそうな置物。
たとえば、彼の部屋にあるものにはすぐになじんだ。すぐに好きになれそうだと思ったし、実際にすぐに好きになった。どれでも。
青い小人の人形、小
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