浄妙寺日記/……とある蛙
 

稲荷山浄妙寺
鎌倉五山第五位の寺格
足利義兼の創建で
月峯了然(げっぽうりょうねん)から臨済宗
足利尊氏の父
足利貞氏が中興の開基
創建時の住職 
行勇律師は後に栄西の弟子
天正年間から
僧が一同 茶を喫する喜泉庵


尊氏の父の貞氏が寺
浄妙寺
鎌倉五山第五位の寺格
号して稲荷山
山門 抜けると
紅梅白梅
色とりどりの
淡い花が
花と散っても花塚が
花と一所に綻ぶ気分
凜とした寒さが境内の外にあっても
ぬるむ空気の境内地
旧知の者もご新規も
枯山水の面前で
宇宙と語り茶を喫する
天正年間から僧一同
茶を喫する喜泉庵
人と語って茶を喫する
心は漫(そぞ)ろでも茶は旨い
水琴窟の遠い音
宇宙から響き渡る
僅かな金属音
水と陶器の小さな宇宙

孟宗竹の竹筒の奥から
遠く母の声が聞こえる
自分を呼んでいる声が聞こえる




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