わたしたちの安心と釈放/ねことら
 


救済は必要とされてなかった。
必要なのは、ダメージだ。



別に、


マックフルーリーチョコでもダークモカフラペチーノでもよかった。
磨かれたフローリング。ひと一人分のスポットライト。
過剰な糖分を齧りながら、細い息を整える。
ごみごみした感情が、薄い油膜にちらばっていた。夜。
弛緩した月が浮かんで、あまったぶぶんの両端をきみと握り合っていた。
さみしさの導火線。囲まれたのは茨と茨と茨と茨。
砂糖でねちゃつくセカイのなかで、あるのは痛くて気持ちのいい甘さだけだ。




ちかちか氷の粒のような細菌が肺のなかで瞬く。
わたしたちは知覚過敏から逃れる
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