雪/真島正人
もう共感しなくなった年月が
物干し台にほされてる
夜になれなかったやみが
陽だまりで喘いでる
でも生きる方法なんて
なくならないのだと
笑ってる
昔言ったことのある言葉が
小川に産卵してる
学校を卒業した子供が
硬くなりはじめた髪と
友達になろうとしてる
中華丼を注文したら
小銭が返ってきた
硬貨は
柔らかくならない
あの娘が
洗面器の前で
ゆり戻しを
体験している
いくら流しても涙は
なくなったりしない
きらめいている太陽の光と反して
部屋の中は暗い
ここはどこですかと
問いかける男の
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)