月齢/salco
 
月が満ちたらわたくしから
横たわったわたくしから
真綿のサナギをそっと剥いで
露わな背中を嘗めて頂戴
ほら、あの月が満ちたら
暗夜に独り、永年独り寝の
あの蒼ざめた女神の腹が膨らんだら
そうして冴え冴えと輝いたらば
サナギのわたくしをそっと露わにして
この背中を嘗めて下さいませね
わたくしは歓びの息を洩らすでしょう
その時、睫毛を濡らすのはもう夜露ではない
いいえ、顔を上げたりはしません
きっと、きっと、このさらばえた貌(かお)を
貴方に見せたりはしない
ずっと夢見て来たのですもの
貴方の舌は温かく
吐息と共に官能の小波を立てる
わたくしの背中をもう

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