レイへ/01
その手にあるものを捨てろ
本も紙も筆も何もいらない
その何もない手で視界を塞げ
そうしてみえるものがお前だ
それをじっくりみつめろ
ひな壇の上に並べられた文章も
デフォルメされた自身をゆめみる詩も
その眼球では三文の価値しか見出せないんだ
そんなものは投げ捨ててお前自身をよくみろ
それを形になんてしなくていい
それを記憶になんてしなくていい
そうする必要のあるものは三文の価値すらないんだ
手の肌が溶けてお前の視界に滲んだとき
透明になった手から世界を透かして見ろ
そこからみえる世界にお前は生きている
その世界は形にするんだ
その世界は記憶にするんだ
眼球のなかで
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