ふ /ヨルノテガム
 
きたところでございます

  口の中に動物園を営んでいますが
  虫歯の穴に落ち込んでいくウッカリ野生動物のことは
  内緒なのです
  若い女のガッカリとした帰り道にすれ違いますので
  それはそれは怖いくらいガッカリして歩いています
  深刻な夜に夢は現れなく いつまでも
  現れないようでした

  雨水は雪になって色んな旅に降り浮かぶ
  そんな変幻自在はどこへいったのでしょうか 人間は。
  つくづく ふゆの森、
  しんしんとした世界に 半分だけ動く毎日の景観は
  ただ流れ それを確認して過ぎるばかりです ました

  沢山の美しいものの仮面が剥がれ落ち
  足あとのように消えて失くなる
  つきあたり 美と対峙するとき

  わたしはひとり

  思ふ、めぐる













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