ふ /ヨルノテガム
 








 ふゆの風の厳しいです

  こどもの消える雪の綿迷路
  海の生き物の死骸大きなが
  砂に打ち上げられて
  月の笛の音を一晩中 開いた口で
  聞き惚れていたようでした
  音符は苦しみを解体していきます
  父に触れると壊れます それは
  取り扱い説明書に書くまでも無く
  当たりまえなんですから

  右折れ左折れ緩いカーブの、
  向こうの見えない道へ行きます
  トンネルの汗のかきます
  例えを忘れるくらいの寒さは
  耳の先を冷凍庫にしちゃう
  柔らかい鼻血がダラダラと流れて
  乾燥してゆく部屋に飽きてきた
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