水仙の惑い/月乃助
りで絡まったままなのに
私はまた
母を置き去りにしていく
数え切れないほどの理由をさがしては、
その一つ一つを積み上げ
海のむこうの町をぼんやりと思い出す
すぐに
うつらうつらと まどろみの中に入り込む母は、
もうとうにここに娘がいることなど忘れている
コップ一杯の山水を のどを鳴らし
男が酒をあおるように飲みほせば
水さえあればここでは生きていけるのかもしれない
そんなことを想いながら
水仙になった私は、子供のように眠りこける
母の姿を見つめ続ける
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