マス/番田
並べながら どこに行くのだろう
安全といったものは いつも 約束されている気がした
今日も名の知れないバーに立ち寄って
食べたことのない野菜や肉の類を腹に詰め込む
拘束のない 世界の中で
夢を見ていたのは 一体誰だったのだろう
未来とは 何だったのだろうと 考える
焼けこげたような 公園の中で
破り捨てられた 菓子パンの袋が転がる
うぐいすパンの味を思い出しながら
二度と戻ることのない 渡航地のことを思い出す
湖に見つめる 波紋の中に 見たことのない 海草を見た
*
川魚が間近で何度も跳ねる
帰る金を無くした チケットの半券を握りしめる
イスタンブールから どうやって イタリアに戻るのか
深夜の波止場に立っていれば 案内人がやってくるから
そいつと交渉しろと 通りすがりのブラジル人に言われたばかりだ
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