二重のまなざし /服部 剛
 
私の胸に 
一つの小さい門があり 
見上げた天井を透きとほって 
下りて来る階段とつながっている 

何処からか 
さりげないピアノの単音が響けば 
昔の誰かの足音が 
この胸の門に入ってゆく 

そうして私は、観つめ始める。 

遠い祖先の人と 
今の時代にいる私の 
まなざしを一つに重ね 

セピア色になる、今日という日を  







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