悲しみの結婚式/一 二
 
いつのことだっただろう

大好きだった人の結婚式に行ったのだが
私と私の親族を除いた出席者には
私の知り合いが一人もいないのだ

かつて私の世界はあなただけだったが
あなたにとっての私は
ただの知り合いの一人でしかなかった


花が蕾から孵る季節には
数々の花々を摘んで
虫が蛹から孵る季節には
蝶や玉虫を篭一杯に詰め
あなたへの贈り物にして
それに添えて私はあなたへ
声に出さずに好きと云ったのだが
それが今では道を閉ざす雪となり
私の歩むべき道がどこにも残されていない


風が風見鶏を弄ぶように
あなたは私を全力で弄ぶ
あなたは金持ちの花嫁にと

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