知らないことが/吉岡孝次
 
道は細く分かれていって
ボンネットの先には 蒼い夕まぐれ
あなたがもう故郷にいないのは知ってる
私がもう独りではないのを
あなたが知っているように
どの角で曲がるのか ふいに聞かれた
反対に切れたら あの頃の二人の場所

  星と海だけが美しいこの町で
  私はあなたのものになりたくはなかった
  すべてが許されると思ってた
  あなたの痛みを知らない私の小さな夢は


波は白く砕けていって
ためらいながら海へと 風が滑り出す
一瞬でも横顔が似てるのは残酷
私がもう独りではないのを
あなたが責めているように
言葉でも身体でも 今も知りたい
さみしさを燃やした
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