ユートピア/うさぎのようにあなたは/茶殻
腕を見付けた石膏像たちが安堵して眠る夜に、うさぎのようなあなたはうさぎのよ
うにフェンスの向こうを見ている。時差の向こうでは冷たい水を飲む長髭の数学者、
僕たちは精密に一四四〇分を刻み終えようとする金曜日の瀬戸際で、しめやかに放
物線の底に落下した真珠の発熱を手にする。退屈なメタファーのものではない、そ
っと笑い隠された前歯、耳を澄ますまでもなく壊れる音は止まない。たとえば大人
のためのおもちゃ、サブレ、石鹸、ランプ。うさぎのようなあなたのために作られ
たものひとつひとつがうさぎのような足跡の上で散っていく。
愛のためじゃなくても泣くことは出来る、パンク・ロッカーはいつの世も喪失
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