世界のこと/はるな
 
そして遠くにある。静かな時間には、それをいっそう強く感じる。わたしにはもうやるべきことがない。世界はわたし抜きで完結している。宇宙のすみずみまで。あるものが、あるべき場所に置かれている。わたしの入る隙がない。わたしは、それはかなしくない。
せかいは、大前提として、すでに美しいのだ。
わたしたちは、もともと、そこにいて、その一部で、世界だったのに。
戻れない。そう思うと、時間は遠くなり、世界と、わたしの溝はくっきりとする。溝は深くない。広くもない。でもすっと線をひくように、断固としてそこにある。わたしは、その溝をまたぐ気持ちにも、埋めるつもりもないのだ。なぜなら世界はそれ自体すでに美しいのだから。

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